February 15, 2021

2021年に15GW超のメガソーラーが新規導入へ 最大460MW案件は蓄電池併設、両面発電と1軸追尾を採用

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太陽光と風力でシェア8割

 2021年1月に発表された米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の調査によると、2021年には、約40GWの発電所が新たに稼働する予定になっている。そのうち、太陽光発電は全体でもっともシェアが大きく39%、それに続く風力は31%と、太陽光と風力で全体のなんと80%に達する。次に続くのは、天然ガスでシェアは16%、そしてエネルギー貯蔵が11%となっている(図1)。

図1●2021年に稼働が予定されているテクノロジー別・月別発電所(G W)
(黄色=太陽光発電、緑=風力、青色=天然ガス、藍色=エネルギー貯蔵設備、赤色=原子力、出所:Energy Information Administration)


 太陽光発電デベロッパーと発電所所有者は、2021年に連系出力15.4GWもの発電事業用の太陽光発電所を新設・稼働する計画である。EIAのデータによると、この容量は、昨年2020年の約12GWを大きく超えることになる。

 ちなみに立地を見ると、新設太陽光発電所の28%はテキサス州、続いて9%はネバダ州、同じく9%はカリフォルニア州、そして7%がノースカロライナ州となっており、これらの4州で全体の半分以上を占める。

「両面発電・一軸追尾」に蓄電池

 現時点で、2021年に稼働する太陽光プロジェクトで最大規模になるのは、「パーミアン・エネルギー・センター」で、テキサス州アンドリュー郡で開発されている。このプロジェクトは、連系出力420MWの太陽光発電所に出力40MW(容量40MWh)のエネルギー貯蔵施設が併設され、合計出力は460MWに達する。バイフェイシャル(両面発電型)パネルと一軸追尾式の架台システムを採用し、約130万枚のバイフェイシャル太陽光パネルは、中国ジンコソーラー製と中国JAソーラー製で、一軸追尾架台は米国ネクストラッカーにより供給される。

 このプロジェクトを開発しているのは、デンマークの風力発電事業で有名なオーステッドだ。同社は米国内では洋上風力発電でリーダー的な存在になっている。2018年に太陽光発電デベロッパーであるリンカーン・クリーン・エネルギーを買収したことにより、パーミアンプロジェクトを代表とする太陽光発電、そしてエネルギー貯蔵設備も同社のポートフォーリオに加わることになった。

 プロジェクトは今年中期に稼働する予定である。Read More Here

February 8, 2021

パンデミック乗り越え、2020年も拡大した企業の再エネ調達 最大需要家はアマゾンで5.1GW、主流は太陽光

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世界で23.7GWに拡大

 新型コロナウイルスの感染拡大は昨年、世界的に健康と経済を危機にさらしたが、企業による「脱炭素」への動きは一層、強まった。

 調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、全世界の企業によるクリーンエネルギー(再生可能エネルギー)の新規契約規模は、2020年に23.7GWに拡大し、2019年の20.1GW、2018年の13.6GWからさらに伸び、記録的な調達量となった(図1)。

図1●地域別世界企業によるクリーンエネルギーPPA締結規模動向(GW) 、AMERは北米、EMEAは欧州・中東・アフリカ、APACはアジア・太平洋地域
(出所:BloombergNEF)


 この調達量は、石油・ガスや大手ITなど、多様な業種をカバーする130社以上の企業によって結ばれたクリーンエネルギーの電力購入契約(PPA)によるものだ。

 BNEFでシニア・アソシエイトを務めるカイル・ハリソン氏によると、企業の株主など含むステークホルダーの持続可能性に対する関心がより高まり、クリーンエネルギーへのアクセスが世界的に拡大しているという。

半分以上が米国での調達

 新型コロナウイルス感染症の大流行、世界的な景気後退、米国大統領選挙に先立つ米国のエネルギー政策に対する不確実性によって壊滅的な打撃を受けた1年にもかかわらず、企業によるクリーンエネルギー調達量は拡大した。 

 BNEFのハリス氏は、「これらの条件下で、クリーンエネルギー調達市場を維持するだけでなく成長させることは、多くの企業のアジェンダ(実行すべき行動計画)の中で持続可能性の優先順位がいかに高いかを証明しています」と、語った。

 BNEFによると、2019年に続き、米国は再び最大のクリーンエネルギー調達市場だった。2020年に米国で11.9GWの企業によるPPAが結ばれた。この調達量は世界全体の50%以上を意味する。

 とはいえ、この調達量は、2019年の14.1GWに比べると減少しており、2016年以来、初めて前年を下回ったことになる。Read More Here

January 29, 2021

新大統領の「バイ・アメリカン」で米国内の太陽電池生産は復活するか!? 前政権の輸入関税でも輸入パネルは増え、米国内のセル生産は姿消す

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就任の初日に「パリ協定」署名

 2021年1月20日、ジョー・バイデン氏(民主党)が第46代米国大統領に就任した。就任第1日目に新大統領は、初仕事として、気候変動対策の国際的枠組みである「パリ協定」に復帰する署名を行い、過去4年間におけるトランプ前政権により後退してしまった米国環境政策の「復旧」に大きな一歩を踏み出した。これは、選挙活動公約の1つである国内の「脱炭素化」に向けた政策の一環でもある(図1)。

図1●「Solar Power International」で演説をするバイデン大統領(当時副大統領)
(出所:Steven Purcell for SPI 2015)


 バイデン大統領は、公約の1つでもあった米国製品を優先する「バイ・アメリカン条項」も実行に移し始めた。この大統領令は、米国企業が製造し、生み出す製品・サービスの購入を増やす義務の厳格化が含まれており、国内の製造業部門の再活性化は、労働者層の賃金上昇と、労働組合に加盟する労働者の増加、さらに、国内供給網の強化が期待される。

「メイド・イン・アメリカ」の定義に注目

 「バイ・アメリカン条項」は国内の太陽光発電産業にポジティブな影響をもたらすことはできるのであろうか?

 「バイデン大統領は、選挙活動中に公約として、製造業と雇用の復活のために、『メイド・イン・アメリカ』に対する税控除制度を含む7000億米ドルのインセンティブを提案しました。 ほとんどの製品のコンポーネント(部品)は輸入されることが多いため、新政権は、(1)全輸入コンポーネントで米国で組み立てられる製品、(2)コンポーネントから全て米国で製造された製品、または(3)それら両方のコンビネーション(組み合わせ)、のいずれにインセンティブを与えるかどうかを決定する必要があります。 太陽光発電産業においては、米国で組み立てられた太陽電池モジュール(太陽光パネル)の90%以上が輸入セル(発電素子)を使用しているため、定義の明確な設定はとても重要になります」、と米太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社・SPV マーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏は、今後の産業政策の行方に注目する。...Read More Here

January 18, 2021

世界最大「ギガソーラー+蓄電池」プロジェクトが米加州に着工! スターバックスや大手電力、地域新電力がPPAを締結

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「大規模太陽光の首都」に建設

 米カリフォルニア州で、ギガワット(GW=1000MW)を超える巨大な太陽光発電と大規模なエネルギー貯蔵プロジェクトの建設が始まろうとしている。

 「エドワーズ&サンボーン・ソーラー・エネルギー貯蔵」と呼ばれるこのプロジェクトは、米再エネ・プロジェクト・ディベロッパーであるテラジェン(Terra-Gen)社が開発した。同社は先月ミネソタ州に本社を構える太陽光発電のEPC(設計・調達・施工)サービス事業者であるモーテンソン社にプロジェクトの施工を委託した。

 エドワーズ&サンボーンプロジェクトは、出力1118MW (1.1GW)の「ギガソーラー」と容量2165MWh(2.165GWh)の「ギガストレージ」から構成される。使用される太陽光パネルは250万枚を越え、エネルギー貯蔵設備には、11万個以上のリチウムイオン電池モジュールが使用される。

 このプロジェクトは「太陽光+蓄電池」プロジェクトで、現時点で世界最大規模といわれている。

 建設は今年第1四半期(1~3月)から開始し、来年の2022年第4四半期(10~12月)に完工する予定だ。

 立地するのは、カリフォルニア州のカーン郡。同郡は、カリフォルニア州セントラルバレー南部に位置し、その面積はなんと東海岸のニュージャージー州に匹敵する。農業が盛んだが、郡の経済は石油採掘にも深く関係している。また、多くの大規模な太陽光発電プロジェクトが建設されているため、カリフォルニア州における「大規模太陽光発電の首都」としても知られている。もちろんこれは俗称で公的な意味があるわけではない。ちなみに、エドワーズ&サンボーンプロジェクトの「エドワーズ」とは、航空機開発の拠点として知られる「エドワーズ空軍基地」の隣接地に開発されることに由来する(図1)。

図1●カーン郡に設置された大規模太陽光発電の1つで、出力は450MWになる
(出所:8minute Solar Energy)

スターバックスがPPA締結

 このプロジェクトのEPCを担当するモーテンソン社は、今まで米17州で計7GWの太陽光発電プロジェクトの建設に携わり、エドワーズ&サンボーンプロジェクトは、同社にとって78番目の太陽光プロジェクト、11番目のエネルギー貯蔵プロジェクトになるという。

 プロジェクトディベロッパーであるテラジェン社は、これまでに1.3 GWを超える太陽光、風力、そして地熱発電所を開発・運営する。

 現時点でプロジェクトから発電される電力の購入者(オフテイカー)は、サステイナビリティ(持続可能性)向上を目標とするリーディング企業、地方自治体、そして大手電力会社が含まれる。

 まずは、コーヒーチェーン世界大手の米スターバックス。同社は、環境負荷を低減するために、2030年までに、CO2排出量を50%削減することを目指している。さらに、昨年9月に2025年までに北米1万店舗を環境配慮型店舗に転換する計画を発表した。同社は、風力発電、太陽光発電から電力購入契約(PPA)を通じて、米国、カナダ、英国にある直営店舗について、既に「再エネ100%」の電力で賄っている。