February 24, 2021

加州に続きテキサスでも電力不足、異常気象で大停電 脆弱な電力網が露呈、信頼性に疑問符

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business


エネルギーの「当たり前」が崩れる

 新型コロナウイルスは、社会の根本的な価値観や行動様式、需要と消費パターンを一変させた。「当たり前のこと」が、当たり前でなくなった。

 テクノロジーと経済でリーダー的な存在の米国なら、安定した電力供給が受けられるという当然の日常も、いまでは当たり前ではなくなった。

 デジタル化が浸透し、さらに脱炭素社会の実現に向けて、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーを電源とした建物、クルマの電化への加速を、連邦政府・州政府ともに推し進めようとしている矢先、その基盤となる電力供給インフラが万全ではないという事実が、昨年にカリフォルニア州、そして、この冬、テキサス州で露呈した。

 昨年夏カリフォルニア州で記録的な猛暑が続き、電力需給が逼迫したことから、同州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)は緊急事態宣言を発動した。さらに、強風により送電線が落下して山火事となるリスクを防止するため、大規模な計画停電を実施した。それでも今年1月には同州北部で強風により配電線が落下し、数日以上に及ぶ停電となった。

エネルギー“大国”で電力不足

 さらに今年2月中旬、今度は記録的な寒波の影響によりテキサス州で400万世帯以上もの広い地域が停電に陥った。氷点下で寒さが厳しくなり、暖房利用などの電力需要が急激に増加したところに、基幹エネルギーである天然ガスパイプラインや風力発電設備が凍結し、電力供給が減少したことが原因とされている。

 つまり、需要が増加するなかで、エネルギーの供給量が下がってしまったわけだ。

 テキサス州知事は風力発電が停電の原因だと非難した。

 テキサス州と言えば石油産業で有名だ。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)によると、2019年同州の天然ガス生産量は米国全体の25%、原油生産は同41%も占める。実は、同州は原油、天然ガスだけではなく、なんと風力発電でも全米をリードしている。EIAによると昨年8月時点で、同州には累積29.1GWもの風力が設置されている。これは2位のアイオワ州の約3倍で、群を抜く風力ナンバーワン州となっている(図1)。...Read More Here

図1●米国における稼働済み・稼働計画中の風力発電・州別ランキング(青緑:2020年8月までに稼働済み、深緑:2020年9月から11月までに稼働計画、緑:2020年12月に稼働計画)
(出所:EIA)

February 15, 2021

2021年に15GW超のメガソーラーが新規導入へ 最大460MW案件は蓄電池併設、両面発電と1軸追尾を採用

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太陽光と風力でシェア8割

 2021年1月に発表された米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の調査によると、2021年には、約40GWの発電所が新たに稼働する予定になっている。そのうち、太陽光発電は全体でもっともシェアが大きく39%、それに続く風力は31%と、太陽光と風力で全体のなんと80%に達する。次に続くのは、天然ガスでシェアは16%、そしてエネルギー貯蔵が11%となっている(図1)。

図1●2021年に稼働が予定されているテクノロジー別・月別発電所(G W)
(黄色=太陽光発電、緑=風力、青色=天然ガス、藍色=エネルギー貯蔵設備、赤色=原子力、出所:Energy Information Administration)


 太陽光発電デベロッパーと発電所所有者は、2021年に連系出力15.4GWもの発電事業用の太陽光発電所を新設・稼働する計画である。EIAのデータによると、この容量は、昨年2020年の約12GWを大きく超えることになる。

 ちなみに立地を見ると、新設太陽光発電所の28%はテキサス州、続いて9%はネバダ州、同じく9%はカリフォルニア州、そして7%がノースカロライナ州となっており、これらの4州で全体の半分以上を占める。

「両面発電・一軸追尾」に蓄電池

 現時点で、2021年に稼働する太陽光プロジェクトで最大規模になるのは、「パーミアン・エネルギー・センター」で、テキサス州アンドリュー郡で開発されている。このプロジェクトは、連系出力420MWの太陽光発電所に出力40MW(容量40MWh)のエネルギー貯蔵施設が併設され、合計出力は460MWに達する。バイフェイシャル(両面発電型)パネルと一軸追尾式の架台システムを採用し、約130万枚のバイフェイシャル太陽光パネルは、中国ジンコソーラー製と中国JAソーラー製で、一軸追尾架台は米国ネクストラッカーにより供給される。

 このプロジェクトを開発しているのは、デンマークの風力発電事業で有名なオーステッドだ。同社は米国内では洋上風力発電でリーダー的な存在になっている。2018年に太陽光発電デベロッパーであるリンカーン・クリーン・エネルギーを買収したことにより、パーミアンプロジェクトを代表とする太陽光発電、そしてエネルギー貯蔵設備も同社のポートフォーリオに加わることになった。

 プロジェクトは今年中期に稼働する予定である。Read More Here

February 8, 2021

パンデミック乗り越え、2020年も拡大した企業の再エネ調達 最大需要家はアマゾンで5.1GW、主流は太陽光

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世界で23.7GWに拡大

 新型コロナウイルスの感染拡大は昨年、世界的に健康と経済を危機にさらしたが、企業による「脱炭素」への動きは一層、強まった。

 調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、全世界の企業によるクリーンエネルギー(再生可能エネルギー)の新規契約規模は、2020年に23.7GWに拡大し、2019年の20.1GW、2018年の13.6GWからさらに伸び、記録的な調達量となった(図1)。

図1●地域別世界企業によるクリーンエネルギーPPA締結規模動向(GW) 、AMERは北米、EMEAは欧州・中東・アフリカ、APACはアジア・太平洋地域
(出所:BloombergNEF)


 この調達量は、石油・ガスや大手ITなど、多様な業種をカバーする130社以上の企業によって結ばれたクリーンエネルギーの電力購入契約(PPA)によるものだ。

 BNEFでシニア・アソシエイトを務めるカイル・ハリソン氏によると、企業の株主など含むステークホルダーの持続可能性に対する関心がより高まり、クリーンエネルギーへのアクセスが世界的に拡大しているという。

半分以上が米国での調達

 新型コロナウイルス感染症の大流行、世界的な景気後退、米国大統領選挙に先立つ米国のエネルギー政策に対する不確実性によって壊滅的な打撃を受けた1年にもかかわらず、企業によるクリーンエネルギー調達量は拡大した。 

 BNEFのハリス氏は、「これらの条件下で、クリーンエネルギー調達市場を維持するだけでなく成長させることは、多くの企業のアジェンダ(実行すべき行動計画)の中で持続可能性の優先順位がいかに高いかを証明しています」と、語った。

 BNEFによると、2019年に続き、米国は再び最大のクリーンエネルギー調達市場だった。2020年に米国で11.9GWの企業によるPPAが結ばれた。この調達量は世界全体の50%以上を意味する。

 とはいえ、この調達量は、2019年の14.1GWに比べると減少しており、2016年以来、初めて前年を下回ったことになる。Read More Here