October 22, 2019

米で普及期待の両面受光型、「関税免除」撤回の影響は? 米国内太陽電池メーカー、発電事業用で優位も

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 一度は関税を免れた「両面受光型太陽電池」が、また関税対象に戻ってしまった。
 2010年以降、米国では、中国などからの安価な太陽電池製品の大量流入により、国内で生産していた太陽電池メーカーは収益性が悪化し、次々と事業から撤退、または破綻に追い込まれた。国内製造業を保護するため、トランプ政権は昨年1月、結晶シリコン太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して4年間にわたり関税を課すことを決定した。
 まず、1年目の2018年にCSPVのセル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)の輸入価格に30%が課され、2年目の今年は5ポイント減の25%となっている。
 米通商代表部(USTR)に対しては、関税措置の開始当初から多くのメーカーから関税控除要求が寄せられた。まず、昨年9月に米メーカーであるサンパワーのバックコンタクト(IBC)方式の結晶シリコン太陽電池セル・モジュールは、「多数の米国メーカーを破綻に追いやった安価で、コモディティ化した輸入品とは違う」とされ、関税免除になった。
 そして、今年6月に両面受光(両面発電)型太陽電池も関税免除のリストに加えられた。この除外には米太陽光エネルギー協会(SEIA) の後押しがあった。SEIAは、その背景として、「米国へ輸出される両面受光型太陽電池の生産量が非常に限られており、製品が米国で生産されたCSPV製品と直接競合せず、除外が保護措置の目的を損なうことはない」との除外理由を公表していた(図1)。...Read More Here
図1●両面受光型太陽電池の設置例
(出所:SilFab Solar)

October 6, 2019

米の電源構成、「2030年まで太陽光2割」を目標に! 累積導入容量は500GW超!

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 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2019」(2019年9月23~26日)がユタ州ソルトレイク市で開催された。このトレードショーは、北米最大のエネルギー関連イベントで、スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)による共催となる。
 このイベントは、2004年から続いており、ユタ州での開催は、今回が初めて。今年は700を超える出展者と国内外から1万9千人以上が来場した。
 今回のSPIでは、SEIAが2030年に向けたエネルギー転換を目指す「ソーラープラス10年間」というロードマップを発表した。このロードマップは、太陽光発電が米国の総発電量に占める割合を現在の2.4%から2030年までに20%に引き上げようという戦略的ビジョンである(図1)。
図1●ユタ州ソルトレイク市で開催されたSPIで2030年のビジョンを発表するSEIAのCEO
(出所:SEIA)

 2010年代、米太陽光発電産業は年間平均50%で成長を遂げ、累積導入容量は69GWを超えた。現在同産業は 年間170億ドルの収益を生み出し、24万2000人が従事している。
 SEIAによると、「2030年までに20%」の目標が達成されると、太陽光を巡り、2030年までに以下のような設備状況になっていると予想している。
 それは、(1)累積500GW以上の太陽光発電が導入(これは、2030年の年間導入量の77GWを含む)、(2)今後10年間で3450億ドルが太陽光発電の開発・導入に投資、(3)太陽光発電の新規導入量が、今後10年間に年間約18%で成長、(4)太陽光発電設備が1400万以上の屋上に設置、そして(5)太陽光発電が150基の石炭火力を置き換えるのに十分な電力を供給するーーといったクリーンな成長をもたらすという(図2)。
図2●「2030年までに20%」を達成するための年間太陽光発電導入(MW)推移(青色:住宅用、黄色:商業用、水色:発電事業用)
(出所:SEIA)

 しかし、この野心的なビジョンを実現するためには、いくつかの課題を解決していかなくてはならないという。そこでSEIAは、(1)コラボレーション、(2)市場加速要因(アクセラレーター)、(3)市場手段と政策牽引、そして(4)成長の管理――という4つの柱をビジョン達成の必要条件に加えた。...Read More Here