October 17, 2018

米加州、蓄電池向け補助金を強化、 総額10億ドルに! 「貯めて使う」ことで、高い電気の購入を避ける

Published in Nikkei Technology ---

総容量は366MWに

 先月末、米カリフォルニア州のブラウン州知事は分散型エネルギーを貯蔵するシステムの導入を奨励するプログラムに関し、さらに5年間延長する法律に調印した。このプログラムに対し、追加的に投入される予算は総額8億3000万米ドルに達し、大半の約7億米ドルは家庭・商業用の蓄電池に当てられると予想されている。
 このプログラムは「セルフ・ジェン」または「SGIP(Self-Generation Incentive Program)」と呼ばれる、自家発電設備の導入支援補助プログラムで、2000 年夏から2001年にかけて起きたカリフォルニアでの大停電を契機にスタートした。同州は、同プログラムを電力需要と温室効果ガス(GHG)の排出削減策として位置づけている。
 補助対象の自家発電設備には、コンバインドサイクル発電、風力発電、燃料電池などが含まれる。ちなみに太陽光発電もこのプログラムに含まれていたが、2007年に太陽光発電用の「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれるプログラムが新設されたのに合わせて、SGIPの補助対象から外れている。分散型エネルギーの貯蔵システムに関しては2008年からSGIP の補助対象になった。
 実は同州は昨年5月に2017~19年の3年間を対象に5億6669万ドルの予算を投じたばかりである。この時には、総予算の79%となる4億4819万ドルがエネルギー貯蔵システムに割り当てられた。
 ちなみに、現時点での補助金申請データを分析してみると、設備導入済み・補助金交付済みの分散型エネルギー貯蔵は92MWで、支払われた補助金の総額は1億5100万ドルになる。補助金認定済みのエネルギー貯蔵は、導入済みの2倍以上の238MWであるが、支払われる補助金総額は約1億6200万ドルで、市場拡大に合わせて補助金額が引き下げられるのがわかる。ここに、補助金申請済みで認定待ちのエネルギー貯蔵を含めると、総容量は366MWに達し、補助金総額は3億3700万ドルとなる(図1)。
図1●カリフォルニア州SGIPエネルギー貯蔵補助金申請ステイタス
(2018年10月2日付)
[画像のクリックで拡大表示]
 これに近日、法案の可決された7億ドルを加えると、総額10億ドルを超えることになる。...https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/column/15/286991/101600094/?n_cid=nbpnxt_mled_dm

October 5, 2018

どうなる米太陽光市場!? 拡大・横ばい・縮小の3つの異なる予測 推進策の動向を巡り、2025年の市場規模で17倍の開き

Published at Nikkei Technology --- 米国では累積で58GWの太陽光が稼働

 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2018」(2018年9月24~27日)がカリフォルニア州アナハイムで開催された。

 このイベントは、スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)が2014年から共催で始めたもので、今年は国内外から2万人以上が参加した。

 SEIAのデータによると米国では既に累積で58GW以上の太陽光発電が導入・稼働している。政府の太陽光発電に対する普及政策の拡大と太陽電池のコスト削減で、米国内市場は大きく拡大した。だが、今後はどうなるのだろうか?

2025年の市場規模、34G~2.2GWまで割れる

 「太陽光発電とエネルギー貯蔵市場の展望」という講演で、3社の主要コンサルティング会社に在籍する専門家がそれぞれの見解を示したうえ、討議した。

 驚くことに、米太陽光市場に関する予測は3人それぞれに大きく異なることだ。これまでは、拡大または減少など、市場の方向性は一致していて、どれくらい拡大するか、減少するかと言ったサイズに関しコンサルティング会社間で違いが生じていた。しかし、今回は、3社とも方向性までも大きく異なっていた。

図)米国の太陽光発電市場予測に関するコンサルティング3社の比較
(出所:SEPAがBNEF, Navigant, HIS Markitのデータを基に作成)


 まず、米ナビガント・コンサルティングはとても強気な予測を打ち出した。同社では2018年の新設太陽光の市場規模を13GWと予測し、2025年には同規模が34GWにまで拡大すると見込んでいる。同社で、マネジング・コンサルタントを務めるアンドレア・ロマノ氏は、この楽観的な予測の背景には、商業・工業用市場、自家消費、コミュニティ・ソーラーなどの拡大を含めた。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)でエネルギー・ストレージ・アナリストを務めるローガン・ゴルディースコット氏は講演で、「(米国太陽光発電市場は)停滞期に入り、現状維持で推移する」と語った。実際、同社の2018年の予測は12GWで、2025年の市場規模は10GWと若干縮小している。

 HISマーケットの予測はさらに見通しが暗く、2018年の予測は8.5GWで、2025年の市場規模は何と2.2GWと大きく縮小している。この規模はナビガント・コンサルティングによる予測の17分の1に過ぎず、2011年レベルまで落ち込んでいることになる。。。。Read More Here