September 27, 2018

米国の事業用太陽光、コスト低下で「追尾型」が主流に 導入コストは「1.56ドル/W」、パネルトップはジンコ

Published at Nikkei Technology -- 5MW以上の20GWを分析

 米国における発電事業用の太陽光市場に関する最新の分析レポートを米ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)が発表した。

 同レポートの筆者であるマーク・ボリンガー氏によると、2017年に6.2 GW(DC・直流:太陽光パネルベース)の発電事業用太陽光が米国で導入され、米太陽光市場全体の59%を占めたという。累積導入量で見ると31GWを越えており、累積導入量全体の60%を占めている。

 同研究所は、2017年末までに稼働を開始した5 MW(AC・交流:連系出力ベース)以上の発電事業用太陽光(590プロジェクト、総累積容量は20.515 MW)を基に、導入量、テクノロジー、設置コストなどを分析した。

ジンコ、ハンファ、トリナがトップ3

 太陽光パネル(太陽電池モジュール)の技術で見てみると、結晶シリコン系が発電事業用プロジェクトで最も使用されており、2017年には年間導入量全体の77%(連系出力3.03 GW)を占めた。ちなみに、結晶シリコン系モジュールをメーカー別にみると、中国ジンコソーラーが15%とシェアトップで、韓国ハンファ(14%)、中国トリナ・ソラー(10%)、カナディアン・ソーラー(6%)、米ミッションソーラーエネルギー(5%)と米サンパワー(5%)となっている。

 薄膜系(化合物型)では米ファースト・ソーラーが2017年の薄膜系プロジェクト全体の97%を占めた。残りの3%は日本のソーラーフロンティアによるものだった。

 2017年までの累積導入量で見てみると、設置(架台)のタイプでは追尾型が全体の67%を占め、モジュールでは結晶シリコン系が全体の69%を占めた。さらに、組み合わせでみると、「結晶シリコン系+追尾型」が連系出力11.09GWと最も多く、「薄膜系+固定型」が連系出力3.70 GW、「結晶シリコン系+固定型」で2.97 GW、「薄膜系+追尾型」が2.68GWと続いた(図1)。...Read More Here
図1●米国の発電事業用太陽光市場におけるパネルと架台のタイプ
Credit: LBNL

September 18, 2018

米で検討の再エネ新政策「クリーン・パワー・スタンダード」、ダックカーブを改善 RPSを発展させ、需要ピーク時の「再エネ容量」確保を義務付け

Published at Nikkei Technology ---  これまで米国の太陽光発電を含めた再生可能エネルギー導入の主要な牽引役はRPS(再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準=Renewable Portfolio Standard)だった。

「再エネ100%」と言うものの…

 RPSは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネから供給することを義務付ける制度である。RPSは州レベルで法律化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 さらなる「低炭素化」または「脱炭素化」を目指し、多くの州でRPSの義務量を引き上げている。実際、ハワイ州では既に「再エネ100%」が成立しており、カリフォルニア州でもハワイ州に続き、「100%法案」が9月10日に可決されたばかりである(図1)。

図1●「100%法案」への支持を表明する
アーノルド・シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事
(出所:California State Archive/Peter Grigsby)


 しかし一方で、義務量を今後、さらに増やし続けても、相対的で効率的な温室効果ガス(GHG)排出量の削減に繋がらない、という分析結果が公表された。

 その背景には太陽光発電の大量導入で生じた電力の需要と供給のミスマッチと、拡大するピーク需要がある。

 2014年のカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)による分析によると、カリフォルニア州のRPS導入目標を2024年に33%から40%に引き上げた場合、再エネ導入量は7%増加するものの、GHG削減量は2%にとどまるという結果となった。...Read More Here