August 26, 2018

米サンパワーを追い、韓国メーカーが急伸 米加州の新築住宅での太陽光パネルシェア

Published at Nikkei Technology ---

10年間で360MWの導入目指す

 今年5月、米カリフォルニア州は、新築住宅に太陽光発電も導入を義務化する新しい規制を承認した。施行は2020年1月からになる。新築住宅向け太陽光市場の拡大に期待が高まる。
 実はカリフォルニア州には、今回決まった「義務化」以前にも、新築住宅向け太陽光への補助金プログラムが導入されている。
 2006年に同州は2006年から2016年までに合計1.9GWの太陽光発電システムの導入目標を掲げ、「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれる補助金プログラムを創設した。CSIのプログラムの中に、「New Solar Homes Partnership(NSHP)」と呼ばれる新築住宅用の特別なプログラムも設定された。
 NSHPプログラムは、2007年1月にスタートした。その目的は、消費者に対してエネルギー効率の高い太陽光搭載住宅の需要を喚起し、ホームビルダーに対して太陽光の「標準搭載」を促すこと。10年間で360MWの太陽光システムを新築住宅に導入することを目標とした。
 環境の改善、市場の開拓、そして住宅オーナーのコスト削減などのインパクトを最大化するために、 新築住宅はエネルギー消費を最小化するという条件がNSHPには含まれている。
 カリフォルニア州では、建築物における電力・天然ガスなどのエネルギー消費の削減を促すため、「タイトル24」と呼ばれるエネルギー効率(省エネ)基準が導入されている。NSHPの補助金を得るためには、住宅を「タイトル24」省エネ基準よりもさらに、15~35%カットしなくてはならない。
 当初、このプログラムは2016年までの予定だったが、補助金申請の締め切り日が今年6月1日まで延長された。8月6日の時点で、NSHPプログラムは合計11万6871件の申請を認定している。それは太陽光パネル容量で427MW(交流ベース)に達する。このうち3万9000件(123MW)の太陽光発電システムが既に新築住宅に導入され、約7万8000件(304MW)が導入待ち、または導入中ということになっている。
 ちなみに、以下のデータは、NSHPプログラムの申請が認定された日付で集計しており、「導入済み」のデータは太陽光発電の設置、または系統連系された日付ではない(図1)。
図1●カリフォルニア州ホームビルダー用太陽光発電補助金 (NSHP) データ(年間推移)
(出所:California Energy Commission)
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「サンパワー・1強」が崩れる

 さて、カリフォルニア州の新築住宅市場における太陽光パネルメーカーのシェアはどうなっているのか? 導入済み(累積設置量)で見てみると、米サンパワー (SunPower) が39%でダントツのトップである。次に韓国の現代重工業(ヒュンダイ)が12%、中国のトリナ・ソーラーが8%、そして、京セラが6%となっている(図2)。...See More Here

August 8, 2018

米加州で「住宅太陽光の設置義務」、その真意は? 「ダックカーブ」で変化するグリッドのニーズにも対応

Published at Nikkei Technology ---

ホームビルダーと協業

 8月に入り、住宅用太陽光発電システムの販売・施工を行う米ビビント・ソーラー社が、米カリフォルニア州の新築住宅市場向けに、米国最大級のホームビルダーの1社と協業すると発表した。これは同州が今春、公表した「新築住宅への太陽光発電設置義務付け」に備えた取り組みである(図1)。
図1●住宅に太陽光発電を設置するビビント社の施工者
(出所:Vivint Solar Developer, LLC)
 今年5月にカリフォルニア・エネルギー委員会(CEC)は、2020年1月より新築住宅に太陽光発電を導入する新しい規制を承認した。これは全米で初めての州政府による「新築住宅への太陽光発電設置の義務化」となる。
 カリフォルニア州の公表データによると、現在同州では年間およそ15万軒の新築・既存住宅に太陽光発電が設置されており、そのうち約10%の1万5000軒が新築住宅用となっている。 同州では年間平均8万軒の新築住宅が建てられるので、 2020年以降、全ての新築住宅に太陽光が設置されるとなると、現在に比べて新築向け市場が約5倍に拡大する(図2)。
図2●カリフォルニア州の住宅用太陽光発電導入推移
(出所:California Distributed Generation Statistics)

さらなる省エネも促す

 今回の「太陽光発電設置義務」の対象は、具体的に新築戸建、3階建までの低層集合住宅(アパート等)になり、2020年1月1日から施行される。太陽光発電の設置に加え、住宅の壁、窓などの高断熱機能を高め、高効率の省エネ設備機器の搭載など、さらなる省エネを求める基準も含まれている。
 さらに、新築住宅が高い建物の陰になっているなど、太陽光発電に適切でない場合、コミュニティーソーラーの開発と蓄電池の併設などの代替手法も含まれている。
 太陽光発電の義務付けは、同州の掲げる「ゼロ・ネット・エネルギー (ZNE)」目標を達成するための一手段と言われている。カリフォルニア州は、新築住宅用建物は2020年まで、そして新築商業用建物は2030年までにZNEにするという目標を2008年に成立させた。
 ZNEは住宅を含む建築物の断熱性・省エネ機能を改善させ、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の消費エネルギー量(冷暖房・給湯・照明など)の収支をプラスマイナス「ゼロ」にすることを指す。
 さらに、カリフォルニア州では、建築物における電力、天然ガスなどのエネルギー消費削減を促すために、「タイトル24」と呼ばれるエネルギー効率(省エネ)基準が導入されている。この建物に対する省エネ基準は3年ごとに調整・更新される。今回の新築住宅への太陽光発電導入義務は「2019年建築物省エネ基準」に含まれた。
 今回の基準 は、太陽光発電設置の他に、蓄電池やヒートポンプ給湯機などの需要応答(デマンドレスポンス)技術を奨励し、屋根裏や壁、窓を通じて熱が逃げるのを抑えるための高性能断熱材、高性能なエアフィルター、さらにキッチンの換気システムを改善などが含まれる。... Read More Here