February 15, 2018

太陽光がEV普及を後押し、加州でシェア争いし烈に 深刻化する電力需要の「ダックカーブ」緩和に期待

Published at Nikkei Technology --- EVのテスト走行に注目
 カリフォルニア州サンディエゴ市で2月11日、太陽光発電関連の展示会「ソーラーエクスペリエンス」が開催された。
 この展示会は毎年行われているもので、例年太陽光発電や蓄電池メーカーの展示や参加者が多いが、今年特に注目を浴びていたのはEV(電気自動車)のテスト走行のデモンストレーションであった。独BMW、米GM、伊フィアット、トヨタ自動車が車両を出展した。カリフォルニア州のベンチャー企業であるレヴェロ(REVERO) もテスラのロードスター似たスポーツカータイプのハイブリッド車を展示した(図1)。
図1●サンディエゴで行われた太陽光発電関連展示会「ソーラーエクスペリエンス」の様子。手前はREVOROが展示した太陽光パネルを搭載したハイブリッド車
(出所:J. Movellan)
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 サンディエゴ市は、太陽光発電システムの設置量では、全米の都市で最大となっており、導入拡大により電力需要のロードカーブが急激に増減する現象「ダックカーブ」が早くも問題となっている。実際、サンディエゴ市の電力会社は、「南カリフォルニアで太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及が進むにつれて、ピーク需要時が夕方から夜に変化している」とし、夏期時間別電気料金のピーク時間帯を従来の午前11時~午後6時から午後4~9時に移行した。
 このピーク時間帯の移行により、昼間の太陽光発電の電力はより低いオフピーク料金で売電され、太陽光が発電しない夕方から電気料金が高くなる。太陽光発電システムの所有者にとっては、「高く売り、安く買う」から「安く売り、高く買う」という経済的メリットが得られない状況となった。
 この解決策として、個人レベルでは、昼間の余剰電力を家庭用蓄電池で充電し、夜に放電するパターンが顕在化し、州レベルでは、EV所有者に対し、昼間にオフィスやショッピングセンターなどの駐車場で充電することを促す動きが出てきた。これにより、日中の余剰電力が減ることで「ダックカーブ」の緩和につながる。EVの普及により、太陽光を持続的に拡大しやすくなる余地が出てくる。

22万台に補助金を交付

 カリフォルニア州では2010年3月から、蓄電池だけで走るEV(図2ではBEV)とPHEV(プラグ・イン・ハイブリッド車)への「クリーン自動車補助金プログラム(CERP)」を開始し、後にFCEV(燃料電池自動車)も加わった。現在、FCEV には5000ドル、EVには2500ドル、PHEVには1500ドルが支給される。さらに、州政府からは、税金の支払い時にEVの購入者は7500ドルの税額控除が適用される。
 カリフォルニア州では、今までに約22万台に対して補助金が交付された。金額ベースでは4億8000万ドルを超える。...Read More Here

February 7, 2018

「再エネ後進州」アラバマに72MWのメガソーラー稼働のワケ ウォルマート社の「再エネ100%」向けに建設、トヨタも続くか?

Published at Nikkei Technology Online ---  米国南部に位置するアラバマ州は、先月トヨタ自動車とマツダが合併新工場の建設を発表したことで、ようやく日本でも知られるようになったが、太陽光発電に関して全米でも遅れた「再エネ・後進州」と見られている。
 アラバマ州は気候変動対策の取り組みや、再生可能エネルギー導入の普及政策もほとんどない。実際、カリフォルニア、ノースカロライナ、アリゾナ州など太陽光発電の導入が活発な州では通常、発電用太陽光発電所の導入を促進する再エネ導入基準(RPS法)と分散型太陽光発電用のネットメータリング制度を整備しているが、アラバマ州にはどちらもない。さらに、同州では、太陽光発電を電力会社の送配電網に接続する際の系統連系も標準化されていない。
 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)のデータによると、2017年9月末までに累積49.3GWの太陽光発電が全米で導入されている。そのうち、カリフォルニア州は40%強の20.1GWを占め、一方、アラバマ州はわずか約0.2%で128MWにすぎない。
 そんな中、2017年末アラバマ州で連系出力72MW (太陽光パネル容量111 MW)のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働を始めた(図1)。
図1●ウォルマート社の再エネ調達で設置された連系出力72MWのメガソーラー
(出所:Swinerton Renewable Energy)

再エネ「利用」に5つの選択肢

 RPS法もなく、ネットメータリング制度もないアラバマ州でメガソーラーが設置された理由は、「再エネ100%」を目標に掲げる企業の「再エネ・ニーズ」に対し、地元の電力会社が応えなければならなかったからだ。...Read More Here