May 15, 2017

米加州、予算を大幅に増加し蓄電池を推進 放電時間と容量で補助率を変動する新手法、需給バランスに活用

Published at Nikkei Technology Online --- 蓄電池向けの予算を増額

 米国カリフォルニア州は2017~19年の3年間に5億6669万ドルの予算を投じ、コージェネレーション(熱電併給)システム、風力、蓄電池、そして燃料電池などの導入を拡大する。

この予算が組まれているのは、セルフ・ジェネレーション・インセンティブ・プログラム(SPIG:自家発電補助金プログラム)で、2010年にカリフォルニア州の温室効果ガス排出の削減とグリッド(系統網)の安定化を促すために開始した。

 今回は蓄電池への予算が拡大され、総予算の79%の4億4819万ドルが蓄電池に充てられる。うち3億9081万ドルは出力10kW以上の大型蓄電池、残りの5738万ドルは出力10kW未満の小規模・住宅用蓄電池に充てられている。

 5月1日に予約申請の公募を開始した。実は、前回の公募ではプログラム開始と同時に蓄電池用の予算枠が少数の施工業者・メーカーによって、非住宅蓄電池用に抑えられてしまった。その反省から、今回はより多くの家庭や企業に蓄電池が広まように、制度上、いくつか改善している。

 まず今回は、住宅用に予算が割り当てられ、1社の施工業者が申請できる件数にも上限をもうけた。さらに、補助金が5段階(ステップ)に分かれており、予約申請の合計額が予算に達すると補助金が下がる(ステップダウン)仕組みになっている。

 具体的には、ステップ予算に達するたびに補助金額は0.05ドル/Wh下がるようになっている。しかし、もしプログラム開始10日以内に予算に達した場合、2倍の0.10ドル/Whで下がる。つまり、需要が高ければ、補助金額の下がりかたに加速がつき、資金効率を高めている(表1・2)。
表2●加州SGIP蓄電池用補助金(ドル/Wh)ステップ別


グリッド安定化に貢献する電池を優先

 今回は、「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる連邦政府からの「再生可能エネルギー導入投資税控除(システム設置にかかった投資額の30%を税額控除)」を利用する場合、大型蓄電池用に限り、補助金額が0.04ドル/Wh低く設定されている。

 さらに、前回は少数のメーカーまたは施工会社などによって、プログラム開始と同時に補助金予算枠が押さえられてしまったので、今回は、もし1日で応募が予算を超えた場合、「抽選」制度が使用される。温室効果ガス排出の削減量、またはグリッド(系統網)への利点が多いプロジェクトは優先権が得られる。... Read More Here