October 5, 2017

「貿易救済措置」に揺れる米国、太陽光市場の行方に悲観と楽観 輸入太陽電池による米国内製造業への損害を認定

Published at Nikkei Technology Online ---

輸入太陽電池に関税や最低価格も

 米国の太陽光発電市場は貿易論争の真っただ中にある。
 9月22日に、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC)は、大量に輸入された低価格な結晶シリコン太陽電池で国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定した。これにより、関税など貿易救済措置によって、今後、米国内に流通する太陽電池の価格が上る可能性が出てきた。
 こうした事態のなか、「米太陽光市場は、今後落ち込むだろう」と、悲観的な意見が米国内外で飛び交う一方で、「2017年は持ちこたえそう」という見方も出てきた。
 ことの発端は、今年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米ITC に輸入結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子) に新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したこと。これは、中国、東南アジアなどから安値で輸入される太陽電池セル・パネルから米国の製造業を保護するためである。
 ITCの決定は、この提訴を概ね認めたものだ。この一件の評価を巡り、米太陽光発電産業では賛否が分かれている。
 関税による国内産業保護への賛成者は、当事者であるサニバ社とドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社。反対派は、主に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパーが含まれている。

5年間に47GW以上の設置量を失う?

 ちなみに、太陽電池メーカー大手のサンパワー社も反対派の一社だ。同社は米企業であるが、結晶シリコン型太陽電池のセル・パネルを国外のフィリピン、マレーシアで製造している。このため、国内保護政策は、同社にとってマイナスの影響を与える。
 反対派の旗振りをしているのは、米太陽エネルギー産業協会(SEIA)。同協会は、「この救済措置により太陽電池の価格が上がり、 太陽光発電を利用する消費者に大きなしわ寄せがいく。国内市場と雇用が大きく収縮してしまう」と、主張している。SEIAは、「8万8000人の国内雇用が失われる」と、救済申請に対する反対キャンペーンを繰り広げた(図1)。..Read Here More
図1●米国太陽エネルギー産業協会と共にサニバ社の貿易保護の
反対キャンペーンに参加する企業の一部
Credit: SEIA